さて、一段落ついた小狼くんのお話し、朱旌時代を書くために脳内でイメージしていたあちこちを煩悩満開状態で散策してきました。
(同行者やすれ違った人は、ににまにまとひとり満足げにほくそ笑み、何もないあさっての方向を見て楽しんでいる私がさぞ不気味だったかも。)
で、朱旌の舞台となったのは北京?上海?いえいえ、もろ中華は色鮮やかすぎたりして私の煩悩を冷ましてしまうのです。
なにより十二国はヨーロッパで、それなら慶東国は常世の英国と信じている私なのです。(キャラ設定だけではなくて元から間違っている私の十二国観)
というわけで、踊って歌える十二国一芸達者な冢宰は(原作のどこにそんな事が)こんなところでお仕事していました。
写真では分かりにくいかと思いますが、左が舞台そして右に続くのがそれを取り囲む客席。それぞれ屋根がありますが、その間はオープンエアなのです。
女優は法律で禁止されているので、少年が娘役を演じます。(私は正しいのだとこっそり主張)
そう、ここは沙翁ゆかりの地球座でございます。
こんな写真だけじゃよく分からない方は、TSUTAYAへ行って「恋に落ちたシェイクスピア」でもご覧下さい。(誰もお気づきでないようですが、「銀葉」実はロミジュリでございます。へ?)さらに本日半額デーとかだったらついでに「覇王別姫」で京劇などお楽しみ下さい(私はこの作品苦手なんですが)。
小狼の一座はいつもはこんな立派なところではなく、旅回りなので露天かテントで公演なのですが、この場合は中国演劇はあまりに大道芸チックで、能では上品すぎ、もっと素朴に猿楽か狂言の屋外公演の感じにしています。
そして人気が出てくると都会のこんな常設の小屋である戯楼に呼ばれて興行出来るのです。
(付け加えると、小狼くんの苦労の原因のひとつは、モデルのひとつがおじさまファンの多かった世阿弥だったという事でして)
それから戯楼以外では伎楼と舎館の間みたいなところでも公演します。
芝居茶屋かはたまたムーランルージュか。
回廊を巡らせた建物のはずなのでこんなです。
お客は綺麗なおねえさんを侍らせてこんな回廊ごしや下の部屋からお酒を飲んだり食べたりしながら中庭で演じているのを見るのです。
ここはやはりバンク地区で、上の地球座からほど近い、何百年も前の旅籠です。
そして興行を無事終えてちょっと息抜きに欄干にもたれて彼方を見た小狼の視線の先には、立派な橋が架かり、それは街と雲海の上を繋いで(川向こうだけど)、王宮が…
…あれ、橋は見えるけど王宮(倫敦塔)が写ってなーい(怒)。
しかし、折良く三騅に跨った禁軍が通りかかりました。なんと雄々しい。
これは首都の治安の見回りですが、王宮勤務の禁軍のコスチュームは、もっと華やかで赤い軍服に黒いもこもこ帽子(あれってたしか『熊』の毛皮だったけど…いいのだろうか)。
こうした芝居小屋のある通りは中国語ではえーっとなんて言ったかなあ(もう書いていないので用語とか忘れちゃった)、今のロンドンにはちょっと見あたらなくて。ミュージカルの劇場街はちょっと違うみたいだし、むしろ近松の道頓堀や出雲の阿国の四条河原界隈なんてのがいいな、と思うのですが。そして入り口で呼び込みをしている場面とかを書くとイメージは「天井桟敷の人々」のパリの犯罪大通りに。そして老芸人と彷徨う姿は「旅芸人の記録」に、とどんどん妄想が拡がってしまいます。
と、半日の散歩で、身も心もしっかり常世を堪能して(?)、連載ウン年分の煩悩を発散させる事が出来ました。
さらにしつこく
英国イメージと言えば、このサイトのベースそのものがそうなのです。
そしてほとんどの長編のマイ設定のスタートは浩瀚Jrの
「ぼくを抱きしめて」シリーズですが、その最初で子供を迎えに来た陽子はこのイメージです。
歳を取らないピーターパンに夜に子供部屋のベッドから誘い出された浩瀚Jr.はウェンディちゃんです。
だからサイト内のタイトル画像などはほとんどがピーターパンの挿絵か同じイギリスの画家の作品を使ってきました。
とまあ、私の妄想の目を通すと、こんな世界が当たり前に見えるんですが……へん…でしょうか?へん、というところで力一杯頷かれる事間違いなしなので駄文もこのあたりで。
いつも来て下さってありがとうございました。この先も書けるかどうか怪しいのですが、これからもどうぞよろしくお願い致します。
たま