制限時間様、押しかけたのになぜか出演料?の頂き物

制限時間/りょくさま

The Unreasonable

浩瓏が久々の休日を、雁の延帝の招き――延帝の遊び相手という素晴らしい名目である――で王宮に訪れていると、この地で会うのは本当に珍しいと言う人物に遭遇した。

本当に珍しいのである。
尚隆の諸国ぶらり旅の頻度よりも多く、激しく王宮に居付かない地官の一人であるその男は、浩瓏を見て不思議そうに笑った。(浩瓏は、まだその男の詳しい地位をしらないので、その驚きは仕方が無かったといえる。)

「ありゃま。これは将来有望株に遭遇したぞ!ありがたやありがたや!是非とも君にあやかりたいものですな」

他の人が言ったのなら、彼の特殊な家庭環境を揶揄しているとして、冷たく切り返すのだが、この男の場合その切り替えしがとんでもない事になりかねないので、冷静に無視した。
…無視したのだが、相手が許してくれなかった。

「おいおい、久々だっていうのに、つれないじゃないか。俺とお前の仲だろ?」

どういう仲だ!!という突っ込みは、勢いよく飲み込んだ。
彼が幼い頃から全く変わらない、その女性のような容貌の男は、浩瓏を離してくれない。折角の休日が、この男の所為でおじゃんになるかと思うと、悲しくって仕方が無い。

――――― 一体、何のようなんですか」

とうとう根負けした浩瓏は、男に泣きそうな顔で質問した。

「聞いたぞ。お前、巧の美女の雛に嫌われたんだってな」

ハイ?ナンナンデスカソレハ?
顔が語っていたのであろう、男は可笑しそうにいった。そして、その内容を聞いた浩瓏は、あまりに理不尽だと思った。

「何でも、瑠姫の『素敵じゃない殿方りすと』の筆頭に上げられたって話じゃないか」
にやにや厭味ったらしく笑いながら言う。

「何で、そうなるんですか!!俺は彼女を隠しこそすれ、嫌われるような事はしていませんよ!!」

「残念だな。だいたい女性に対する詰めが甘い。そんなんだから、親父に何時までたっても叶わないんだ。まぁ、あのお方に雛のお前が勝てるわけが無いんだが…って痛いぞ、お前!」

余計な一言を言った彼を一発殴ると、襟元をつかんで説明を促す。
さらりとその腕から逃れた男は、自慢の萌葱色の髪を風に遊ばせながら、その場から去ろうとしている。情報屋の渾名は伊達ではなかった。

「“王様の前で、笑われるなんて恥をかいたのは、あの人の所為ですわ!”」
幼女のような、高い声音をわざわざ出して言った。

そして去り際に、こんなことを言った。

「子供を篭絡させる時の秘訣、お前じゃ知らないよな?菓子を与えたのは上々だが、その後がいけない。淑女≪レディ≫の美貌を保つ為の、小道具≪アイテム≫を貸して差し上げるのも、男の務めだ。手巾≪ハンカチ≫をさりげなく渡すぐらい、どうして出来んかね…この馬鹿弟子は……あ、因みに、俺は瑠姫の『素敵な殿方りすと』の筆頭だからv」

じゃぁ!といって去っていった男の背が、今までこんなに悔しいと思ったことは無い。
本来なら、彼の家系にはなく、去っていった男の家系の特徴であることをした。

『ふざけんな、この馬鹿兄弟子がぁぁっぁ!!』

尚隆の薫陶を受けたもの同士だが、兄弟子――飛弓のほうが、まだまだ上のようである。

頭上の太陽は、今日も輝く。

オリキャラのいろんなjrを可愛がられて楽しまれているりょくさまのサイトより。
この前にもうちのjrと遊んで(としか言い様がない)いただいておりますので、それもまた後ほど。
いずれも賢くて飛びきりの美形揃い。へたれなうちのjrなんぞは格好のおもちゃになっております。
あまりに出来が悪すぎたため、とうとうりょくさんはもっと美形で優秀なオリジナル浩瀚jrをつくられました。
ああ、情けない…。

warehouse keeper TAMA
the warehouse12