小さな羊が扉の陰で覗いてる。
紅い髪と碧の瞳が覗いてる。
いくらこっそり覗いても、私が貴女に気が付かないはずがないでしょう。
こんな姿を見られたことに少し困って、でもそのままそ知らぬ顔を装って。
でも貴女の眼差しがくすぐったくてつい唇が微笑んでしまいます。
いったいいつまで覗いているのです?
少し崩したのこの姿勢、ここならちょうど貴女がすっぽりと。
膝に乗り、これを一緒に読みますか?
そっと抱き寄せた手で貴女の紅い髪を弄びながら、
いくら書を読んでも分からないと書かれたこのたくさんの質問に
貴女のかわいい耳元で、いくらでもご説明致しましょう。
それがお嫌なら、早くお部屋へお戻りを。
ほら、早く。
狼が立ち上がるまでに。
貴女を見つけたふりをするまでに。
早くお逃げなさい。